はじめに
試合を決める場面って、
実は「長距離を走れるか」ではなく…
・最初の一歩が速いか
・相手より先に跳べるか
・一瞬で力を出せるか
この “瞬間の強さ” = 爆発的パワー(Explosive Power) が勝負を分けます。
専門的にいうと、
100ミリ秒以内にどれだけ筋力を出せるか。
サッカーはもちろん、バスケ、陸上、バレー…
どの競技でもエースは “ここ” が強い。
そして嬉しいことに、
爆発的パワーは「生まれつき」じゃなくトレーニングで伸びる能力です。
爆発的パワーが伸びると何が変わる?
- 一歩目が速くなる(前方向・横方向)
- 空中戦に強くなる(ジャンプの “切れ” が良くなる)
- リスタートの加速が鋭くなる
- 相手の重心を一瞬でズラせる
つまり、
「うまい選手」ではなく「剥がせる選手」になる。
ここが大事。
じゃあどうやって伸ばすのか?
爆発的パワーは筋力だけではありません。
ポイントは 神経 × 速筋 × タイミング の掛け合わせです。
① 筋力は「出力の土台」
スクワット・ヒップスラスト・ランジなど
下肢のベースの力 は必要。
② 速筋線維を“素早く”使う刺激が必要
軽い力を長く使う回数系ではなく
短く・強く・速く。
③ 動きのスピードを高める神経トレーニング
身体が「遅い動きしか知らない」ままでは
爆発は起きません。
具体的なトレーニングメニュー(週3でOK)
1. 反発を使うジャンプ(Plyometrics)
| 種目 | 回数 | 休息の目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| リアクションジャンプ | 6回 × 3セット | 1〜2分 | “ドンッ” と地面を押す感覚 |
| 片脚ホップ(前後) | 10回 × 2セット | 1〜2分 | 接地時間を短く |
| ドロップジャンプ(20〜40cm台) | 6回 × 3セット | 1〜2分 | 落ちて → 即 跳ぶ |
→ 接地の短さ × 反発の強さ が爆発性を作る
2. 一歩目に特化したスプリントドリル
| 種目 | 距離/回数 | 休息 | 意識点 |
|---|---|---|---|
| 0→5m加速 | 6本 | 完全休息 | 最初の2歩に100% |
| スタート姿勢バリエーション(座位・伏臥・後ろ向き) | 各4本 | 完全休息 | 神経系に新しい刺激 |
| 方向転換5-5シャトル | 5本 | 2分 | 切り返しの腰の高さ |
→ 「ゆっくりやらない」ことが超重要
3. 筋力の土台は“多関節”で
| 種目 | 回数 | 負荷 | ポイント |
|---|---|---|---|
| スクワット | 5〜8回 × 3セット | 中〜やや重い | 深さよりも速い立ち上がり |
| ヒップスラスト | 6〜10回 × 3セット | 重め | お尻で地面を押す感覚 |
| 片脚ルーマニアンDL | 8回 × 3セット | 軽〜中 | ブレずに支える |
→ 遅いスクワットだけだと“速さ”につながらない。
最後の立ち上がりで“速さ”を出すこと。
よくある間違い
| 間違い | なぜダメ? |
|---|---|
| ただジャンプやダッシュを “がむしゃらに数こなす” | 神経が疲れて動きが雑になる |
| 筋トレはできるだけ重くやる=正解と思いがち | 「速く出せる力」が育たない |
| とにかく量と根性 | 爆発的パワーは質の勝負 |
爆発力は「疲れ切った状態」では伸びない。
新鮮な状態で、少なく強く。
まとめ
| 要点 | 内容 |
|---|---|
| 爆発的パワーは才能ではない | トレーニングで伸びる |
| 鍵になるのは「速筋 × 神経 × 出力速度」 | 単なる筋力とは別物 |
| トレーニングは“短く・速く・鋭く” | 量より質 |
| 試合で差がつくのは「最初の一歩」 | ここが伸びるとプレーが変わる |



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