サッカーはテクニックや戦術のスポーツとして知られていますが、フィジカル(身体能力)の要素もますます重要視されています。
フィジカル能力は、プレイヤーが持つ技術や判断力を最大限に発揮するための基盤となるものです。
ここでは、サッカーにおけるフィジカルの重要性をデータを交えて解説します。
スプリント能力の重要性
サッカーでは、ゲーム中に繰り返される短時間の全力疾走(スプリント)が試合結果に大きな影響を与えます。
特に、トップレベルの選手は頻繁にスプリントを行い、その回数や速度がパフォーマンスを左右します。
- データによれば、1試合でプロサッカー選手が走る距離は平均して約10~13kmで、そのうち約10%がスプリントでカバーされています。
さらに、これらのスプリントの平均距離は約15~20メートルです【1】。 - 2018年のワールドカップでは、フランス代表のキリアン・エムバペが時速38kmを超えるスプリントを記録しており、これが得点シーンの要因となりました【2】。
短距離のスプリント能力があることで、攻守の切り替えや、相手のディフェンスを突破する場面で優位に立つことができます。
筋力とスタミナの関係
フィジカルの中でも筋力とスタミナは密接に関連しています。
筋力が強化されることで、サッカー選手はボール保持や対人プレーにおいてより優れたパフォーマンスを発揮します。
また、スタミナは長時間にわたる運動を持続させ、後半の試合でのパフォーマンス低下を防ぎます。
- 研究結果によると、トップレベルの選手が1試合で行うパスの成功率やシュートの精度は、後半40分を超えると約15%低下することがわかっています【3】。
これは、スタミナの欠如が原因である可能性が高く、フィジカル面の強化が後半のパフォーマンス維持に重要であることを示唆しています。
筋力トレーニングは、特に下半身の強化に重要です。
スプリントのスピード向上やボールキープ力に寄与するだけでなく、ケガの予防にも役立ちます。
フィジカルの進化と現代サッカー
現代のサッカーでは、フィジカルの強化がますます求められています。
これは、選手の体格が過去数十年で大きく変化したことからも明らかです。
- データによれば、プレミアリーグで活躍する選手の平均身長は1980年代後半には178cm程度でしたが、2020年代には平均180cmを超えています【4】。
また、選手の体脂肪率は年々減少しており、筋力を重視したトレーニングが増えています。
フィジカルの強化は、サッカーが単に技術や戦術のスポーツでなく、身体能力を最大限に活かす複合的な競技になっていることを示しています。
これにより、フィジカルの強さがチームの勝敗に直接影響を与える要因の一つとなっています。
フィジカル能力とポジションの関係
フィジカル能力の必要性は、ポジションによっても異なります。例えば、センターバックやフォワードの選手は対人プレーで強いフィジカルを求められ、ミッドフィルダーはスタミナとスピードが重要です。
- ある研究では、守備のポジションにいる選手は平均して約80回のフィジカルコンタクトを1試合で経験しているのに対し、ミッドフィルダーは約50回、フォワードは30回程度です【5】。
守備選手にとっては、対人プレーの強さが特に求められるため、筋力強化が必須となります。
結論:フィジカルと成功の相関性
サッカーにおけるフィジカル能力は、技術や戦術と並んで、選手のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
スプリントやスタミナ、筋力は、現代サッカーでは欠かせない要素であり、ポジションや役割に応じたフィジカルトレーニングが必要です。
また、データからも明らかであるように、フィジカルを向上させることは試合での勝利に直結する重要な要素となります。
【参考文献】
- FIFA Technical Report 2018
- スプリント能力に関するデータ分析(2020年)
- UEFA Performance Study(2019年)
- プレミアリーグ選手の体格データ(2020年)
- ポジション別のフィジカルコンタクト数【20†source】【21†source】
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