「足が速い」と言われる特性は、運動能力の象徴として注目を集めます。
その速さは本当に遺伝で決まるのでしょうか?
それともトレーニングや環境が影響するのでしょうか?
この記事では、
足の速さに関する遺伝の要素を最新の研究に基づいて解説しながら、
環境や努力がもたらす重要な役割について深掘りしていきます。
1.足の速さを決める要因とは?
遺伝の影響
足の速さには遺伝が関与していることが研究で明らかになっています。
その中でも注目されるのが、ACTN3遺伝子です。
この遺伝子は速筋(瞬発力を発揮する筋肉)の構成に関与し、
運動能力に影響を与えるとされています。
ACTN3遺伝子と運動パフォーマンス
ACTN3遺伝子には、R型(活性型)とX型(非活性型)の2種類があります。
親から遺伝することで、次の3つのタイプに分かれます。
- RR型:速筋繊維が発達しやすい。主にパワー系の種目に向いている。
- RX型:速筋と持久筋のバランスが良いタイプ。多くの運動に適応可能。
- XX型:速筋繊維が少なく、持久筋が優位。長距離走やマラソンなどの持久系種目に向いている。
RR型やRX型は、
一見「スプリントや瞬発力系の種目に向いている」と思われがちですが、
研究ではむしろ持久力を要する種目(サッカーやマラソンなど)でも活躍できることが示されていますので、この筋繊維を持った子供は比較的、運動能力が優れる傾向にあります。
2.運動能力は環境要因に大きく左右される!?
遺伝子が運動能力に与える影響は少なからずありますが、
それだけでは決まらないのが現実です。
遺伝は運動能力の一部を決める要因に過ぎず、
それ以上に環境要因が重要です。
環境がもたらす運動能力への影響
運動能力に優れた親がいる家庭では、
自然と運動に触れる機会が多くなります。
例えば、
スポーツを趣味とする親は、
子どもを積極的にスポーツクラブに通わせたり、
家庭で一緒に運動をしたりします。
そのため、
子どもが運動能力を伸ばす機会を得やすいのです。
一方で、
運動をあまりしない親の場合、
子どもが運動する機会が少なくなり、
結果として運動能力の発達が遅れる可能性もあります。
このように、
運動能力は親から受け継ぐ遺伝だけでなく「育った環境」によって大きく左右されます。
3.小さい頃からの環境づくりの重要性!
幼少期から運動を習慣化する
幼少期は脳や筋肉が発達する重要な時期です。
この時期にさまざまな運動を経験することで、運動神経が刺激され、身体能力の基盤が形成されます。
特に9〜12歳ごろはゴールデンエイジとも呼ばれており、神経系が特に発達する時期になっています。
この時に色々な運動や遊びを経験しておくことで、いわゆる運動神経が良い子供へと育っていくわけです。
この時期に豊富な運動経験を行っていくことで、
運動神経は良くなり将来、運動に対するポジティブな考えを持つのはもちろんのこと、
健康的な身体も獲得することが出来るので、
親御さんには子供への運動・遊びの環境を積極的に与えていただくのが良いかと思います。
また具体的には以下のような取り組みが効果的です。
- 親子で運動を楽しむ:キャッチボールや公園での遊びなど、遊びを通じて運動に触れる機会を増やす。
- 多様なスポーツの経験:幼少期にいろいろなスポーツを経験することで、身体全体をバランスよく鍛える。
- 継続的な習慣化:週に数回の運動を習慣づけることで、身体能力を向上させる基盤を作る。
運動が好きになる環境
無理に運動を強制するのではなく、
運動を「楽しいもの」として感じられる環境づくりも重要です。
たとえば、子どもの成長に合わせて適度な運動量を設定し、
達成感を味わえるような体験を提供することが大切です。
【頑張れば出来る】といった感覚や、【自分なら出来る】といった自信は、
将来運動に限らず、勉強やその後の人生においても大事な思考になります。
子供が運動を好きになる環境を積極的に提供するのも、
親御さんに出来るサポートの一つかと思います。
4.遺伝を超えるトレーニングの力!
トレーニングで遺伝的要素を補完する
足の速さや運動能力を高めるには、
遺伝よりも「走り方」や「トレーニング」の方が重要です。
私が指導するサッカーチームでも、
トレーニングによって足が速くなった選手を何人も見てきました。
大人になってからでも、足に速さや運動能力を上げることは可能ですが、
より小さい時からトレーニングを積むことで、
遺伝の力を超える能力を手に入れることが出来るようになります。
以下は、速さを向上させるための具体的なトレーニング方法です。
効果的なトレーニング
- フォームの改善
正しいフォームで走ることは、効率的なエネルギー伝達につながります。
姿勢を整え、腕や脚の動きを連動させる練習を繰り返すことが重要です。 - スプリントドリル
全力で短距離を走る練習を繰り返すことで、速筋を鍛えられます。 - 筋力トレーニング
下半身を中心に鍛えることで、地面を蹴る力を高められます。 - 柔軟性向上とケガ予防
ストレッチを取り入れ、筋肉の柔軟性を保つことで、
効率的な動きとケガの予防が可能です。
↑こちらの記事も参考↑
5.科学と実践を組み合わせる!
科学的な知識だけでなく、実際の取り組みが運動能力を高めるカギとなります。
幼少期に十分な運動経験を積んだ子どもは、
成長してからも身体能力を発揮しやすい傾向があります。
現代では街中での遊ぶ環境すらも昔に比べて減ってきてしまい、
子供の運動能力も低下しつつあるのが現状です。
遺伝に頼るだけではなく、
トレーニングや環境づくりによって運動能力を最大限に引き出すことが可能となるのです。
結論:遺伝を活かし、環境と努力で能力を伸ばそう!!
足の速さは確かに遺伝に影響されますが、
それだけで決まるわけではありません。
環境とトレーニングによって、誰もが自身の能力を大きく伸ばすことができます。
親子で運動を楽しむ時間を増やし、
適切なトレーニングを行うことで、遺伝の枠を超えた可能性を引き出しましょう。
そして、「走ること」を楽しむことで、
心身ともに健康的な成長を目指していきたいものです。
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