1. 「サッカーのプレーはうまいのに、当たり負けする…」
「うちの子、ドリブルはうまいんだけど、
試合になるとすぐ倒されてしまう…」
「技術はあるのに、競り合いで勝てなくて悔しがってる」
こうした悩みを抱えている保護者の方、多いのではないでしょうか?
ジュニアサッカーの現場では、
技術があるにもかかわらず「当たり負け」や「接触での転倒」が目立つ子がよくいます。
実はその原因、
体の使い方と“筋力不足”にあるケースがとても多いんです。
私自身、サッカーチームのトレーナーとして多くのジュニア選手を見てきました。
そこで感じるのは、
「小学生でも、筋トレは必要」ということ。
もちろん、“ダンベルで追い込むような筋トレ”を推奨しているわけではありません。
しかし、体幹や下半身を安定させる「自重トレーニング」は、今のうちから習慣づけておくと大きなメリットがあります。
特に成長期の子どもたちは、
・骨格はどんどん成長する
・筋肉や神経は発達途中
・動きのバランスが崩れやすい
という“過渡期の身体”をしています。
この時期に「正しく、安全に体を使う力」を覚えることで、
- プレースタイルが安定する
- ケガが減る
- 自信を持ってプレーできるようになる
という成長のスパイラルが生まれるのです。
私が関わっていたある小学生の選手は、
1対1で簡単に吹き飛ばされることに悩んでいました。
しかし週3回、自宅で5分の筋トレメニューを続けた結果、
3ヶ月後には「フィジカルが強くなったね!」とコーチや周りから声をかけられるまでに。
本人も「最近ぶつかっても倒れない!」と笑顔を見せるようになりました。
つまり、“正しい筋トレ”は、身体だけでなく心も強くするんです。
この記事では、
小学生でも安全に取り組める筋トレの方法や、
親子で楽しく継続するコツ、そして保護者が知っておくべき「よくある誤解」についても丁寧に解説していきます。
次の章ではまず、
「小学生に筋トレって危険じゃないの?」という疑問からお答えします。
2. 小学生の筋トレは危険?安全性と注意点
「小学生に筋トレって危ないんじゃないの?」
「成長に悪影響が出るって聞いたけど…」
こうした心配の声、実際によく耳にします。
特に保護者世代の方は、
「筋トレ=筋肉ムキムキになるまで鍛えるもの」というイメージを持っている方が多いかもしれません。
でも、結論から言えば──
正しい方法で行えば、小学生でも筋トレは安全です。
むしろ推奨されています。
▶ 公式見解も「自重トレーニングならOK」
例えば、日本スポーツ協会のジュニア育成指針でも、
「小学生期における筋トレ」は
“正しいフォームと軽負荷(自重)であれば安全” とされています。
むしろこの時期は、
・神経系が発達しやすい
・正しい動きを覚えやすい
・習慣化しやすい
という“学習のゴールデンタイム”。
重たいバーベルなどを使わず、
自分の体をうまく扱う練習=自重トレーニングが最適なんです。
▶ よくある誤解①「筋トレすると身長が伸びない」
これ、実は医学的な根拠がありません。
成長に悪影響が出るとされるのは、
極端なウェイトトレーニング(高重量×高頻度)を長期的に行った場合の話。
適切なメニューであれば、
筋トレが成長を妨げるどころか、
むしろ成長を支える基礎になるという考え方が、現在のスポーツ科学の主流です。
▶ よくある誤解②「まだ早い、成長してからでいい」
「もっと大きくなってからでいい」という意見もありますが、
実は 小学生のうちから“体の使い方”を学んでおく方が、その後の成長に有利です。
体幹、股関節、肩まわりなど、サッカーの基礎動作に関わる部分は、
早期からトレーニングしておくことでケガを防ぎ、
技術の伸びしろを支える“受け皿”になってくれます。
⇩こちらの記事も参考!
▶ トレーナー視点の「始めるときの3つの注意点」
私が現場で伝えているのは、この3つです:
- 正しいフォームを覚えることが最優先
→ 回数よりも、ブレずに丁寧に動けることが大事 - 週2〜3回、5〜10分でOK
→ やりすぎより“継続できる範囲”を優先しましょう - 「できた!」という実感が継続のカギ
→ 回数の記録や親の声かけで達成感を育てる
小学生にとっての筋トレは、ムキムキになることが目的ではありません。
「姿勢」「バランス」「安定性」を身につけて、ケガをしない強い体を作るための“準備”です。
次章では、実際に筋トレを取り入れた小学生の“成功事例”をご紹介していきます。
3. 小学生サッカー選手の体づくり成功例
「本当に効果あるの?」
「小学生のうちから筋トレして、意味があるのかな…?」
そんな疑問を持つ方にこそ、ぜひ知ってほしいのが、実際に体幹や筋トレに取り組んだ選手たちの変化です。
ここでは、
私がこれまで指導した中で印象的だったジュニア選手の成功例をご紹介します。
▶ケース ①:1対1で当たり負けしていた小学4年生
彼はとても足元の技術に優れた選手でしたが、
- ボールキープ時にすぐ倒れてしまう
- 競り合いで簡単に弾き飛ばされる
- ケガも多く、プレー時間が安定しない
という悩みを抱えていました。
指導を始めたときに注目したのは、
体幹の弱さと下半身の安定感のなさ。
そこで、週2回・1日10分の自宅トレーニングを提案。
内容は以下のようなシンプルなもの:
- プランク20秒×3セット
- バードドッグ10回×2セット
- スクワット15回×2セット
わずか2ヶ月で、
- 接触プレーで“踏ん張れる”ようになった
- ボールを持っていても姿勢が崩れにくくなった
- チーム内で「当たりが強くなったね!」と言われる
といった変化が現れました。
さらに驚いたのは、本人の自信が目に見えて変わったことです。
「最近倒れないから楽しい!」と笑う彼の顔が、何よりの成果でした。
▶ ケース②:細身で転びがちだった小学2年生
小柄で華奢な体つきだったその子は、
親御さんからも
「見ていてヒヤヒヤする」「いつも転んでる」と心配されていました。
彼に取り組んでもらったのは、
“遊び感覚の体幹トレ”。
- バランスボールに座って5分バウンド
- 片足立ちでジャンケン
- プランクで片手上げ
いわば「体を遊びながらコントロールするトレーニング」ですね。
3ヶ月後には、
- 転倒の回数が減る
- ボールを受けた後にバランスを崩さない
- 「体の動かし方がうまくなったね」とコーチから評価
されるように。
このように、
体づくりの成果は“プレーの安定”として現れるんです。
筋トレ=筋肉を大きくするもの、と捉えてしまうと誤解されがちですが、
小学生においては
“プレーに必要な動作を支える身体をつくる”
という視点での体づくりが何より大切。
次の章では、実際にどんな筋トレメニューが小学生に向いているのか、
私が推奨する「安全で効果的な7種目」を紹介していきます。
4. 厳選7メニュー|小学生からできる筋トレ
ここからは、
私が現場で実際に指導してきた中で、
「安全で効果的だった」と感じた小学生サッカー選手向け筋トレメニュー7選
を紹介していきます。
どれも“自重”で行えるため、自宅でも取り入れやすく、
継続しやすいものばかりです。
※動画はあくまでやり方を見てもらうためです。回数や時間などは正しいフォームで行えるようになったら上げていきましょう。
① プランク
- 【目的】体幹の安定力を育てる(お腹・背中)
- 【方法】うつ伏せで両肘とつま先を床につけ、一直線に姿勢をキープ
- 【時間】20〜30秒 × 2〜3セット
- 【ポイント】腰が落ちすぎたり、上がりすぎないように注意
- 【サッカーでの効果】ボールキープ時の姿勢が崩れにくくなる
② バードドッグ(バランス×体幹)
- 【目的】体幹と四肢の連動、バランス感覚を養う
- 【方法】四つん這いで、右手と左足を同時に伸ばし5秒キープ → 交互に
- 【回数】左右10回ずつ × 2セット
- 【ポイント】背中が反りすぎないように真っ直ぐ意識
- 【効果】パス・シュート時の“体のブレ”が減る
③ デッドバグ(体幹+四肢の協調)
- 【目的】 体幹の安定と手足の連動性を鍛える
- 【方法】
1. 仰向けに寝て、両手を天井に伸ばす
2. 両膝を90度に曲げて、太ももが床と垂直になるように構える
3. 右手と左足をゆっくりと伸ばして床ギリギリまで下げる
4. 元の位置に戻し、左右交互に繰り返す - 【回数】 10回 × 左右2セット
- 【ポイント】
- 腰が反らないよう、お腹を常に引き締めるイメージで
- 動作はゆっくり、ブレずにコントロール - 【効果】
パスやドリブル時の姿勢保持や、手足の連動性アップに効果あり。
サッカーの動きの中でも“軸がブレない体”をつくるのに最適。
④ ヒップリフト(お尻・ハム強化)
- 【目的】お尻とハムストリングス(太もも裏)を強くする
- 【方法】仰向けに寝て、膝を曲げた状態からお尻を浮かせる
- 【回数】15回 × 2セット
- 【ポイント】肩から膝まで一直線を意識
- 【効果】スプリント時の地面を蹴る力が強くなる
⑤ サイドプランク(体幹の側面)
- 【目的】腹斜筋・横の体幹力を鍛える
- 【方法】横向きで肘をつき、腰を浮かせて一直線をキープ
- 【時間】左右20秒 × 2セット
- 【ポイント】体が前後に傾かないように注意
- 【効果】相手からの“横からの当たり”に強くなる
⑥ マウンテンクライマー(体幹+心肺)
- 【目的】体幹+持久力+素早い足の切り替え力を同時に鍛える
- 【方法】腕立ての姿勢から、膝を交互に胸に引き寄せるように動かす
- 【時間】30秒 × 2セット(リズムよく)
- 【ポイント】お尻が上がらないように
- 【効果】守備時のスライド・寄せが速くなる
⑦ チューブウォーク(導入アイテム)
- 【目的】股関節・お尻・太もも周りを総合的に鍛える
- 【方法】ゴムバンド(チューブ)を膝上につけ、腰を落として左右に横歩き
- 【回数】左右10歩ずつ × 2セット
- 【ポイント】膝が内側に入らないようにキープ
- 【効果】下半身の安定性が高まり、キック・守備が安定
※ 使いやすくておすすめのチューブは後ほど別記事で紹介予定!
これらのメニューはすべて、
・「フォーム重視」
・「短時間でOK」
・「効果が出やすい」
ということを重視して構成しています。
次章では、こうした筋トレを“楽しく継続”させるために、保護者がどう関わっていけば良いかを紹介していきます。
5. 筋トレを続けるコツ|保護者の関わり方
せっかく良いトレーニングメニューを用意しても、続かなければ意味がありません。
特に小学生の場合、
「継続のカギ」は 保護者の関わり方にかかっていると言っても過言ではありません。
ここでは、家庭で筋トレを“楽しく・自然に
習慣化するためのコツを、現場での経験をもとにご紹介します。
▶ 「やらせる」より「一緒にやる」
一番大切なのは、
筋トレを“義務”ではなく“習慣”にすること。
そのためには、親も一緒に体を動かすことが効果的です。
- 「今日もプランク対決しようか!」
- 「パパは何秒キープできるかな?」
- 「ママが勝ったらデザート1個減らすぞ〜(笑)」
ちょっとしたゲーム感覚や競争要素を入れるだけで、
子どもたちは喜んで取り組むようになります。
▶ ご褒美や「見える化」でモチベーションを継続
- 回数や秒数をカレンダーに記録する
- 「できた日」にシールを貼る
- 「今週は3回できたらお楽しみDay」などの目標を設定
こういった“見える成長”が、小学生の継続にはとても大事です。
特に低学年の子は
「できたことを認めてもらえる」ことで
やる気が倍増します。
▶ 声かけの質が子どもを伸ばす
保護者の声かけ一つで、筋トレは
- 「しんどいだけの時間」にも
- 「自信がつく時間」にもなります。
例:
- ×「また忘れてたの?」「やったの?」
- ◎「おっ、フォームが前よりきれいになってる!」
- ◎「10秒長くできるようになったじゃん!」
できたこと、改善されたことに注目してあげると、
自然と「もっとやりたい!」という気持ちが育っていきます。
▶ 習慣化のためのタイミングは“日常の流れ”に組み込む
- お風呂前の5分
- テレビのCM中
- 宿題が終わったあと
こうした“すでにある生活リズム”に筋トレをくっつけると、
自然と毎日のルーティンとして定着しやすくなります。
次の章では、よくある保護者の疑問に対して、
現場の視点からQ&A形式でお答えしていきます。
6. よくある質問Q&A
ここでは、保護者の方からよくいただく質問を中心に、
「小学生の筋トレ」に関する疑問をQ&A形式で解説していきます。
Q1. 毎日やらなきゃ効果は出ませんか?
A. いいえ、週2〜3回で十分です。
小学生のうちは「継続すること」が一番大切です。
毎日やらせようとすると嫌になってしまうこともあります。
週2〜3回、5〜10分ずつでもOK。
習慣化すれば、必ず効果が現れます。
Q2. プロ選手も小学生のときから筋トレしていましたか?
A. 多くの選手が、体幹や自重トレーニングから始めています。
特にJアカデミーやトレセンに入るような子たちは、
- プランク
- 片足バランス
- 股関節トレーニング
など、動作の安定につながる体づくりを早い段階から取り入れています。
「筋肉をつける」よりも「体をうまく使えるようになる」ことが目的です。
Q3. 小学生にプロテインは必要ですか?
A. 基本的には“食事優先”でOK。ただし補助的に使うのはアリ。
毎日しっかり3食+おやつで栄養が取れていれば不要ですが、
- 食が細い
- 練習量が多い
- 朝ごはんが食べにくい
といった子には、
ジュニア専用のプロテインが補助として使えます。
例:セノビック、ザバス ジュニアプロテインなど
セノビック
ザバス(SAVAS) ジュニアプロテイン
Q4. いつから始めるのが理想ですか?
A. 小学1年生からでもOK。遊びの延長から始めましょう。
フォームに注意しながら、
自重で安全な種目から始めれば、
1年生でも問題ありません。
高学年になると“正しい動き方”を覚えるのに時間がかかることもあるので、
むしろ早めに「正しい体の使い方」を身につけておくと伸びしろが広がります。
次章では、ここまでのまとめとして、
“体づくりはプレーの基礎”であることを再確認し、
これからのステップについてもお伝えしていきます。
7. まとめ|筋トレは“体を強くする習慣づくり”
小学生に筋トレはまだ早い——。
そんな声もありますが、この記事を読んでくださったあなたはもう気づいたはずです。
「小学生こそ、“正しく動ける体”をつくる筋トレが必要」だということを。
実際に私は、ジュニア世代のサッカー選手を数多く見てきましたが、
“フィジカルが弱い”とされる子の多くは、
・体幹が使えていない
・下半身の筋力と安定感が不足している
・姿勢の崩れによってプレーがブレている
という特徴を持っていました。
逆に、体幹や筋力のベースが身についている子は、
・プレー中に軸がブレず
・当たりに強くなり
・なにより自信を持ってプレーしていました。
今の小学生に必要なのは、「強くなるための習慣づくり」。
それは、
毎日1時間の激しい筋トレではなく、
週2〜3回、数分の“継続できるトレーニング”
でOKなんです。
しかもそれは、親子で楽しみながらできるものばかり。
家庭の中で「少しずつ体が強くなっていく」実感は、
本人にとっても、保護者にとっても大きな喜びになります。
ぜひ今日から、“体を強くする第一歩”を踏み出してみてください。
そして、今後も「ジュニアサッカー からだラボ」では、
・成長期の体づくり
・ケガ予防
・おすすめのジュニア用トレーニンググッズ
などを、専門的かつわかりやすくお届けしていきます。
\ お子さんの“からだ”と“未来”を一緒に育てていきましょう! /
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