「サッカーと暑さ指数(WBGT)|熱中症予防のために知っておきたい基準と対策」

サッカー

夏のグラウンド、
立っているだけで汗が噴き出すあの感じ。

「これ、サッカーどころじゃないでしょ…」
と心の中でつぶやきながらも、
子どもたちは元気に走り回っている。
そんな光景を見たことはありませんか?

実はその「暑さ」、気温だけでは測れません。

たとえば気温が30℃でも、
湿度や日差しが強ければ熱中症のリスクは
一気に上がります。

そんなときに役立つのが
暑さ指数(WBGT)です。

このWBGT、
最近ではJFA(日本サッカー協会)や学校現場でも活用が進み、
「WBGTが31℃を超えたら活動中止!」
といった基準があるほど重要な指標。

にもかかわらず、
意外と「WBGTって何?天気予報には出てないけど?」という方も多いのが現状です。

特にサッカーは
炎天下での試合や練習が多いスポーツ。

ジュニア選手は自分で体調を訴えるのが苦手なケースもあり、
“大人がリスクを先読みして守る”ことが命を守る最大のプレーと言えるかもしれません。

この記事では、

  • 暑さ指数(WBGT)とは何か?
  • サッカーではどのように活用されているのか?
  • 実際にどこでチェックできるのか?
  • 熱中症から選手を守るために、どんな対策ができるのか?

といった内容を、
現場のトレーナー視点からわかりやすくまとめています。

「この夏、無事に乗り切って、
秋には元気に走り回ってほしい」

そんな願いを込めて、保護者の方にもぜひ読んでいただきたい内容です。

第1章:暑さ指数(WBGT)とは? 〜気温だけじゃ測れない“隠れ熱リスク”〜

「今日30℃らしいけど、
風もあるし意外と平気そうだね」
…なんて油断していませんか?

実は、熱中症のリスクは「気温」だけでは判断できません。
むしろ、“湿度”や“日差し(輻射熱)”の影響のほうが大きいとも言われています。

ここで登場するのが、WBGT(湿球黒球温度:Wet Bulb Globe Temperature)です。

聞き慣れない名前かもしれませんが、
日本スポーツ協会やJFA、文部科学省、
環境省などが正式な基準として用いている
「暑さの総合評価」といえる指標です。


🔍WBGTってなにで決まるの?

WBGTは以下の3つの要素を組み合わせて計算されます。

項目内容
湿球温度湿度の影響(汗が蒸発しにくいと体温が下がらない)
黒球温度日射・地面からの照り返しの影響(直射日光の強さ)
気温空気中の温度そのもの

つまり、日陰よりも炎天下、芝よりも人工芝、風がない状況ほどWBGTは上がります。

気温が同じ30℃でも、WBGTは25.0だったり、29.5だったりと、同じじゃないんです。


📌なぜWBGTが重要なのか?

人間の体温は汗をかいて蒸発させることで下げる仕組みになっています。

でも、湿度が高いと汗は蒸発せずに「ただ流れるだけ」。

これでは体温が下がらず、
体内に熱がこもって熱中症のリスクが爆上がりします。

だからこそ、「今日は暑い」ではなく、
「今日はWBGTいくつ?」とチェックすることが命を守る第一歩なんです。


🏃‍♂️サッカーとWBGT:なぜ関係が深いのか?

  • サッカーはプレー時間が長く(公式戦で前後半40〜45分)、休憩も限られがち
  • 炎天下での開催が多く、しかも走行距離が長い(Jリーグ選手でも1試合平均10km前後)
  • ジュニア選手は「暑さを自覚しにくく、言い出せない」傾向がある

つまり、「気づいたときには遅い」
スポーツでもあるんです。

だからこそ、指導者や保護者が先に“暑さの危険度”を知っておく必要があるんですね。


🗣️ちなみに私は、夏の試合で選手の顔色が赤黒くなってきたら「WBGT高めかも」と直感的に判断し、WBGTモニターを確認 → クーリングタイム強制導入 → 氷嚢を首にポン。

これだけでも、一人の選手の体調不良を防げたことがあります。


次章では、このWBGTの「数値ごとのリスクと行動指針」について解説します。

「あの数値を超えたらもうやめよう」が明確になりますよ!

第2章:WBGTの数値別リスクと行動指針

〜「この暑さ、もう限界かも?」の見える化〜

「気温30℃でも今日はやけに息苦しい…」

その感覚、気のせいじゃありません。

WBGTはあなたの“直感”を数値で教えてくれます。


✅WBGT(暑さ指数)の目安表

WBGT値(℃)リスクレベル運動に関する指針コメント
21〜25注意十分な水分補給・適切な休憩を朝の涼しい時間帯でも油断禁物
25〜28警戒休憩頻度を増やし、こまめな給水を徹底夏の午前練でもありうる範囲
28〜31厳重警戒激しい運動は中止、軽運動のみ「今日は軽めにしよう」が鉄則
31〜33原則中止運動は原則中止、特に子どもは要注意公式戦でも中断が検討されるレベル
33以上危険(運動中止)すべての運動を中止命に関わる。迷わず中止!

🔍JFA(日本サッカー協会)の対応指針(参考)

  • 少年サッカーの大会では「WBGT31℃以上」でクーリングブレイク必須
  • 31℃を超えたら原則試合中止 or 短縮ルール導入
  • 多くの学校・少年団・地域大会もこの指針に準拠

🧊実際の現場あるある:その判断、迷う前に「WBGT値」!

  • ✅「選手が顔真っ赤+無口になる」→ だいたいWBGT31以上
  • ✅「人工芝が灼熱地獄」→ 黒球温度が上がり、WBGTも高めに
  • ✅「風がないグラウンド+直射日光」→ 油断するとWBGT33オーバー

👨‍👩‍👧保護者向けアドバイス

「今日は暑いけど、練習はあるのかな…?」
そんなときは天気アプリではなく、
WBGTの数値を調べましょう!

のちほどご紹介する方法で誰でもスマホで簡単にチェックできます。


さて、次の章ではその
「WBGTの調べ方と、どこで確認できるか」
を具体的に解説します。

無料アプリ・公式サイト・持ち運び可能な測定器などを紹介していきます!

第3章:WBGTはどこで確認できる?いつチェックする?

〜「暑さ」を“勘”に頼らないために〜

「WBGTって便利そうだけど…実際どこで見られるの?」

そんな声にお応えして、ここでは誰でも簡単にWBGTを確認する方法を3パターン紹介します。


✅①:環境省の【熱中症予防情報サイト】(無料・PC/スマホ対応)

👉 https://www.wbgt.env.go.jp/

  • 各都道府県のWBGT(実況値・予測値)が確認可能
  • 3時間ごとの予報やアラート発令状況も表示
  • 試合のある場所のWBGTを事前に確認しておくのに便利

📌ここがポイント!
「自宅のWBGT」ではなく、
「試合会場のWBGT」を調べることが大事。

遠征先のグラウンドが“山間部 or 人工芝”などの場合、数値は大きく変わります!


✅②:スマホアプリで通知もOK(通学・遠征時にも◎)

アプリ名特徴おすすめ度
熱中症警戒アラート(環境省公式)WBGTをプッシュ通知でお知らせ★★★★★
Yahoo!天気WBGT相当の「暑さ指数」目安を表示★★★★☆
JWA熱中症アラート簡単操作で全国のリスクレベルを表示★★★☆☆

📌 活用のコツ
「WBGTが31℃を超えたら通知」など条件付きアラートが設定できると、
朝にグラウンドへ出る前の判断材料になります。


✅③:市販のWBGT測定器を使う(グラウンド現場に1つあると神)

商品名特徴参考価格(目安)
タニタ 熱中症指数計気温・湿度・WBGTの3項目を表示。持ち運び◎約3,000〜5,000円
CUSTOM 熱中症指数モニター首から下げられるコンパクトモデル約2,000円前後
Kestrel WBGTメーター(上級者向け)競技会・研究用途でも使われる高精度タイプ1万円〜

📌 おすすめポイント

  • ベンチ横やテント内のWBGTも測れるので、人工芝と天然芝の違いも把握可能
  • 一部の大会では、運営がWBGT測定器を持参し現地判断をしていることもあります!

🕐WBGTは“朝イチ&試合直前”の2回チェックが鉄則!

  • 朝の時点:今日の見通し(練習 or 中止)を判断
  • 試合30分前:現場の状況で最終判断(特に人工芝・日陰ゼロ環境では要注意)

🎯まとめ:測る→見る→判断する

感覚に頼るのではなく、
「数値で危険を知る」ことで、
「ちょっと休もう」「今日は無理せず」などの判断が早くなります。

次章では、いよいよ「暑さ指数が高いときの熱中症対策ベスト5」を紹介していきます!

第4章:WBGTが高いときの熱中症対策ベスト5

〜“根性”じゃ防げない、科学的な暑さ対策〜

WBGTが31℃を超えると、プレーの質どころか命に関わります。
だからこそ、暑さ指数が高いときは「対策ありき」で臨むことが絶対条件。

ここでは、現場で本当に役立つ熱中症対策ベスト5をご紹介します。


🥤第1位:水分補給+塩分補給は「時間と量」を管理!

  • 「のどが渇いた」と感じる前に補給が基本
  • 水だけではなく、ナトリウム(塩分)もセットで補給
  • 経口補水液(OS-1やアクアソリタ)やスポーツドリンク(ポカリ・アクエリアス)など活用

📌 おすすめアイテム

  • ✅ OS-1パウチタイプ(小学生でも飲みやすい)
  • ✅ 塩分タブレット(試合前やハーフタイムに1粒)

🧊第2位:氷・冷却グッズの「即効クーリング」

  • クーリングタイムには氷嚢(アイスバッグ)・ネッククーラー・冷感タオルが最強
  • 首・脇・太もも付け根などの「太い血管のある部位」を狙って冷やす

📌 おすすめアイテム

  • ✅ 保冷剤付きネックリング
  • ✅ スプレー式瞬間冷却(シューッとするやつ)

🏕️第3位:日陰の確保が“パフォーマンス差”になる

  • グラウンドに「屋根」はない → テント・パラソル・日除けシートで対策
  • 日陰と直射日光ではWBGTが2~4℃違うことも!

📌 おすすめアイテム

  • ✅ ワンタッチサンシェードテント(保護者用にも人気)
  • ✅ クーラーボックス(氷+飲料の保冷に)

👕第4位:ウェアは「吸汗速乾+通気性」がマスト

  • 綿素材のTシャツは逆に汗をこもらせる
  • スポーツ用ドライ素材のインナーやソックスで放熱効率を上げる

📌 おすすめアイテム

  • ✅ アンダーアーマーやミズノのジュニア用インナーシャツ
  • ✅ 足元対策:吸汗速乾ソックス or メッシュインソール

⏸️第5位:練習メニュー・時間を“割り切る勇気”

  • 「短時間・高密度 or 今日はスキル系だけ」に切り替える柔軟さ
  • 監督・コーチと相談して、“午前だけで終了”や“半分水遊び”もアリ

📌 ポイント:「今日の練習が未来のリスクにならないように」


🌿番外編:家庭での準備チェックリスト(保護者向け)

  • ✅ 凍らせたスポドリ or 経口補水液
  • ✅ 首に巻ける冷却タオル
  • ✅ 試合用ネーム入りマイボトル(取り違え防止!)
  • ✅「熱中症対策セット」を車に常備(氷、タオル、帽子、着替え)

第5章:ジュニアサッカーのWBGT事例と、保護者にできること

〜「気づいていれば…」を、ゼロにする〜

夏のサッカー現場では、実際にWBGTが原因での試合中止・体調不良が後を絶ちません。

ここでは、実際にあったエピソードや現場の声を紹介しながら、保護者としてできることを考えていきます。


📚実際のエピソード①:大会当日、WBGTが33.5℃

「予定どおり開催します」とアナウンスされた市大会。
開始から10分で、
すでに1人が足がつり、もう1人はフラつきで交代

→ 後半途中で主審が異常を感じ、
試合は“打ち切り”に。

指導者は「朝の段階ではそこまで高くなかった」と言っていたが、実際のグラウンド(人工芝)は灼熱だった。


🗣️エピソード②:遠征先でWBGT対策が不十分

他クラブとの交流戦で、クーリングタイムが取られず、保冷グッズもなし
うちの選手は普段からアイスグッズを使っていたが、他の選手は準備しておらず、
何人かが「気分悪い」とベンチでダウン…。

→ 試合後、保護者間で「対策はチーム任せにしすぎた」と反省会。


🧑‍🏫指導者の本音

「WBGTが高くても、公式戦だからやらざるを得ないこともある。

だからこそ、家庭での準備と、練習後のリカバリーが本当に大事なんです」


👪保護者にできる5つの行動チェックリスト

✅やること理由
1. 試合当日のWBGTを事前に確認する「今日は大丈夫かな?」ではなく数字で判断
2. 経口補水液・氷嚢などを持たせる現場での“即対応”が、ダウンを防ぐ鍵
3. 子どもの様子を観察・声かけする無口になる・目がうつろなどは危険サイン
4. チーム側にも対策の共有をお願いする「クーリング入れてください」と一言でも大事
5. 家庭でも熱中症の危険を話しておく子ども自身が「言っていい」空気を作ること

💬現場トレーナーのひとこと

「熱中症は、防げる事故です。
でも、“あと5分なら大丈夫”が一番危ない。
子どもは夢中で限界を超えてしまうからこそ、
大人の“引き算の判断”が未来を守るプレーになります」

まとめ:WBGTを味方にすれば、夏のサッカーはもっと安全になる

「暑いから、気をつけようね」

そんなひと言では、夏のグラウンドは乗り切れません。

サッカーは、走る・止まる・跳ぶ・戦うがすべて詰まったスポーツ。

特にジュニア世代では、「自分の体調に気づく」よりも「プレーしたい!」が先に来がちです。

だからこそ、
“大人がWBGT(暑さ指数)という数字を頼りに、先回りして守る”

これが、夏のサッカーでいちばん大切なプレーになるのです。


この記事で紹介したように、

  • WBGTは「気温+湿度+日差し」で決まる指標であり、
  • スマホや測定器で誰でも簡単にチェックでき、
  • 数値ごとにリスクと対策を整理しておくことで、
  • 子どもたちの命を守る「予防的ファインプレー」ができる

そう、熱中症対策は“技術”や“根性”ではなく“知識と準備”で守れるものなのです。


📌最後に伝えたいこと

✅ 暑さを甘く見ない。
✅ WBGTを見て、行動を決める。
✅ 迷ったら、“やらない勇気”を。

今日グラウンドに立つ選手が、
明日も元気にボールを蹴れるように。

WBGTとともに、安全で楽しいサッカーライフを送りましょう!

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