スポーツは遺伝が大きい!?

スポーツ医科学

スポーツ遺伝子とは

スポーツにおけるパフォーマンスは、
技術や戦術だけでなく、
個々のフィジカル能力にも大きく依存します。

近年、これらの能力が遺伝子によってどの程度決定されるのかが注目されています。

研究によれば、運動能力の約66%が遺伝要因によって決まるとされています。

つまりフィジカル(運動能力)の半分以上は遺伝によって決まっているのです。

遺伝的特性を知る重要性

遺伝的に自分の得意な競技や運動特性を知っておくことは非常に重要です。

自分の体質や筋肉の特性に合ったスポーツを選ぶことで、
努力の結果が出やすくなり、自信にも繋がりやすくなります。


たとえば、短距離走に向いたRR型(速筋タイプ)の人が長距離走に挑戦すると、
思うような成果が得られず苦しむことがあります。

しかし自分の特性を理解すれば、
適切なトレーニング戦略を立てることができるようになるのです。

筋繊維の種類と遺伝的影響

人間の筋肉は主に「速筋」「遅筋」の2種類に分類されます。

  • 速筋:瞬発力を必要とする運動に適しており、短距離走や重量挙げなどで重要な役割を果たします。RR型とも呼びます。
  • 遅筋:持久力を要する運動に適しており、マラソンや長距離泳などで活躍します。XX型とも呼びます。

これらの筋繊維の割合は、遺伝的要因によって影響を受けます。

例えば、「ACTN3遺伝子」の型によって、速筋の発達や機能が左右されることが知られています。

サッカー選手に関わるスポーツ遺伝

サッカーは、スプリントやジャンプなどの瞬発的な動作と、
試合を通じた持久力の両方が求められるスポーツです。


したがって、速筋と遅筋のバランスが重要となります。

ACTN3遺伝子とサッカー選手

「ACTN3遺伝子」は、速筋の機能に関与しており、その多型(RR型、RX型、XX型)が個々の運動能力に影響を及ぼします。


特に、RR型やRX型を持つ人は瞬発系の能力に優れる傾向があり、
サッカー選手においてもこれらの型を持つ選手が多いことが報告されています。

引用:https://lovecyclist.me/genetic-test/ 

もちろん、中にはXX型を持つ選手もいるでしょう。

ポジションやプレースタイルによってもどのタイプの筋繊維がベストなのかは人によって変わります。

サッカー日本代表の前田大然選手はあの驚異的なスピードから考えてRR型と推測できますし、
遠藤航選手は1試合を通して常に存在感を出し続ける無尽蔵な体力があることからRXもしくはXX型かと思います。

ミトコンドリアDNAと持久力

持久系の運動能力は、
母系遺伝するミトコンドリアDNAの型によっても影響を受けることが示唆されています。


特定のミトコンドリアDNA多型が持久力の向上に関連している可能性があり、
サッカー選手の持久的パフォーマンスにも関係していると考えられます。

スポーツ遺伝子検査は倫理的によくないのでは?

スポーツ遺伝子検査は、
個人の遺伝的特性を明らかにし、
トレーニングや競技選択の参考とするものです。


しかし、これには倫理的な課題も伴います。。

国立スポーツ科学センターの指摘

日本の国立スポーツ科学センター(JISS)では、
遺伝子検査の科学的根拠や倫理的問題について慎重な姿勢を取っています。


特に、遺伝情報の誤用や差別につながる可能性があることを指摘しており、
検査結果の適切な利用が求められています。


遺伝子によって適性が決まるという固定観念が広まることで、
選手の努力を軽視する風潮が生まれることを懸念する意見もあります。

プライバシーと差別の懸念

遺伝子情報は究極の個人情報であり、
その取り扱いには細心の注意が必要です。


不適切な管理や漏洩が起これば、
遺伝的特性による差別や偏見を招く可能性があります。


また、遺伝子検査の結果をもとに、特定の競技への参加を制限されたり、
不利益を被るリスクも指摘されています。

自己決定権と心理的影響

遺伝子検査を受けるかどうかは、
個人の自己決定権に委ねられるべきです。


しかし、
検査結果が自己認識や自己評価に影響を及ぼし、
過度なプレッシャーやストレスを感じる可能性もあります。


特に、若年層のアスリートに対しては慎重な対応が求められます。

それでも私はスポーツ遺伝子検査をオススメする

これらの倫理的課題を踏まえつつも、
適切な環境と指導のもとでスポーツ遺伝子検査を活用することには大きなメリットがあります。

私の実体験

私は高校生までサッカーをしていましたが、足がすごく遅いFWの選手でした。

中学生の時は、
足が速くなりたくて陸上部の練習にも参加していましたし、
走るフォームなどを改善するために、様々なトレーニングを行なっていました。


一方で持久力は学年でもトップクラス。

特別なトレーニングをしているわけではありませんでしたが、走れば走るほど持久力は上がっていきました。

実際にスポーツ遺伝子検査をしたところ、
私はXX型。持久力に特化した遺伝子を持っていたことが分かりました。



この事実をもっと早く知っていれば、
スピードが命になるFWというポジションではなく、
他のポジションの方がもっと上のレベルまでいけたのかもしれません。

※私自身の努力不足が大きいですが。。。


このことから、本気でプロのアスリートを目指すのであれば、
小さいうちから自分のフィジカル的な特徴を知るためにも、
スポーツ遺伝子検査は行なっておいた方がいいのではないかと思います。

個別最適化されたトレーニングの実現

遺伝子検査によって得られた情報を基に、
個々の選手に最適なトレーニングプログラムを設計することが可能となります。

これにより、効率的な能力向上や怪我の予防が期待できるでしょう。

適性の早期発見とキャリア形成

遺伝的特性を理解することで、
選手自身が自分の強みや課題を把握し、
適切な競技選択やポジション決定に役立てることができます。



これにより、
長期的なキャリア形成や目標設定がより明確になります。


反対に、XX型の私が短距離走でオリンピックを目指している状況で、
どんなにトレーニングを積んでも100m走で10秒4~5という記録が限界というデータがあることを知ってしまったら絶望の淵に追いやられるでしょう。

もっと早く言ってくれよ。。となること間違いなしです。

スポーツ遺伝子検査をするなら

私も実際に行いましたが、
具体的なレポートが返ってきて結果内容も分かりやすかったです。



※自分にとって都合の悪い検査結果が出たとしても決して落胆することはありません。

瞬発力に強いRR型の方も持久力はトレーニングで身につきますし、
持久力に強いXX型の方もトレーニングをすれば瞬発力は上がります。


逆に遺伝子レベルで多少のハンデがあったとしても、
それすらもひっくり返せるのがスポーツ!
ということを忘れないようにしてください。

まとめ

スポーツ遺伝子は、運動能力や適性に影響を与える重要な要素です。

サッカー選手においても、遺伝的特性を理解し、
それに基づいたトレーニングや戦略を立てることが、
パフォーマンス向上につながります。

しかし、遺伝子検査の活用には倫理的な配慮が不可欠であり、
個人のプライバシーや自己決定権を尊重する姿勢が求められます。


適切な取り扱いと理解のもとで、スポーツ遺伝子の知識を活用することが、アスリートにとって有益であると考えます。

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